童謡・唱歌『うれしいひなまつり』
1935(昭和10)年
作詞:サトウハチロー
作曲:河村光陽
はじめにゆっくりと音読し、次にメロディを思い出しながら口ずさんでみてください。
最後にしっかりと声に出して歌ってみましょう!!
『うれしいひなまつり』は、題名どおり、雛祭りを歌った曲です。サトウハチローが娘に雛人形セットを買ってやった前後に作詞したとされています。日本人ならば老若男女問わず知らない人はいないでしょう。いつまでも歌い継がれてほしい曲の一つです。他にも雛祭りを唄った曲はあるのでしょうが、3月3日と言えば『うれしいひなまつり』のメロディが頭の中に自然と巡ります。「うれしい」という歌詞にもかかわらず、西洋音楽的に分類からすれば短調の物悲しいような旋律があります。現在の子どもたちの曲にあるような明るく活発な調子に比べて、明治から昭和初期にかけて作曲された日本の童謡や唱歌には少し暗い調子の曲が多いように感じます。昔の童謡は、明るさという点では欠けるところがありますが、一方で命の儚さや、それゆえの尊さ、美しさというものをそこはかとなく感じさせるものが多くあります。これが、子どもの情操教育において良いのか悪いのかは別の議論になりますが、日本人の他者へのやさしい思いやりの心や、自然への豊かな感受性を育てる一因になっていたように思われます。歌詞の中に官女から嫁いだ姉を連想するくだりがありますが、これは嫁ぎ先が決まった矢先に18歳という若さで生涯を閉じたサトウハチローの姉のことを歌っているものであり、この曲が短調なのはハチローの姉へのレクイエムだからであるとの解釈もあります。
『うれしいひなまつり』の歌詞は間違い?
歌詞には雛人形を歌った内容としては不正確な描写が含まれており、作詞したサトウハチローはこうした誤りを気にして、晩年までこの曲を嫌っていたと言われています。歌詞では、「お内裏様(おだいりさま)」は一段目の向かって右側の「男雛(おびな)」の意味で使われています。内裏とは天皇陛下の住む御殿、皇居を意味しており、天皇皇后の「結婚の儀」を表現している雛段飾りにおいて、お内裏様は男雛・女雛で一対の人形を指すことになります。つまり、「お内裏様」と言った時点で男雛・女雛の両方を示していることになり、「お内裏様」に、さらに「お雛様」を追加していう必要はありません。本来、男雛と女雛一対で内裏雛(だいりびな)と呼ぶのを「お内裏様とお雛様」と呼んでいるのは、この歌から広まった誤用です。
右大臣(うだいじん)を「赤い顔」としているのも誤りで、実際には左大臣です。「右大臣」は、雛段飾りにおける四段目で弓をもった二人の護衛「随臣(随身/ずいじん)」の一人です。肌色で顔が赤く見えるのは向かって右側の人形なので、歌詞では「右大臣」と書かれたのだと思われますが、雛段飾りにおける左右は、お内裏様から見た左右になるので、対面から眺める側の左右とは逆になります。つまり「右大臣」は誤りで、正しくは「左大臣」になります。また、右大臣そのものが間違いという説もあります。右大臣は朝廷の最高機関「太政官」における事実上の長官であり、弓矢で武装した衣装を着ることはありませんし、雛段飾りの二段目に来なければ不自然になります。つまり、四段目の随臣は、右大臣ではなく、向かって左側の赤い衣装の随臣が「右近衛少将(うこんのえのしょうしょう)」、右側の黒い方が「左近衛中将(さこんえのしょうしょう)」となります。しかし、こうした誤りがあるにも関わらず、『うれしいひなまつり』が今日まで歌い継がれているのは、それだけ日本人の心と、桃の節句の文化とを強く結びつける、他に代えがたい曲だからなのでしょう。
歌詞の1番に描かれている「ぼんぼり」とは、ロウソクをともす燭台(しょくだい)のことで、紙や布で囲った古い灯火具を指します。雛段飾りでは、男雛と女雛の外側に左右一つずつ置かれています。ロウソクの明かりが紙や布によって間接照明となり「ほんのり」と優しく広がることから、語源は「ほんのり」が「ぼんぼり」に転訛したものと考えられています。また、歌詞の2番に登場する「官女(かんじょ)」とは、雛段飾りの二段目に配置された三人の女性たちのことです。「女官(にょかん)」とも呼ばれ、宮中や将軍家などに仕えていました。
白酒とは?
3番の右大臣が「すこし白酒 めされたか」とされる「白酒」は、酒税法上のリキュールに該当し、アルコール分も高いため、家庭で作ることは法律上禁止されています。
菱餅(ひしもち)は、なぜ、お雛様で飾られる(食べられる)?
ひな壇に飾る菱餅(ひし餅)の形の意味については諸説ありますが、節分の「豆まき」や「柊鰯(ひいらぎいわし)」と同様に邪気を払うための意味合いがあると考えられています(ヒシの実にはトゲがあります)。
ひなあられは、なぜ、お雛さまで食べられる?
ひなあられには、娘の健康を祈願するという意味が込められています。ひなあられは基本的に「桃・緑・黄・白」の4色で構成されていて、これは四季を意味しています。「一年を通して娘の幸せを祈る」という意味を込めています。3色の場合もあり、この場合は「白・緑・赤」で構成されていることが多く、白が雪の大地、緑が木々の芽吹き、赤が血と命を意味していて、自然のエネルギーを得られるようにという意味が込められています。雛人形には「娘の病気や厄災の身代わりになるように」との意味が込められていますが、ひなあられを用意しておくことで、その意味合いを強く体現することができるということになります。
遠見岬神社など各所に、全国から寄贈されたひな人形がずらり!
千葉県勝浦市に春を呼ぶイベントのひとつ、「かつうらビッグひな祭り」では、遠見岬神社の石段や覚翁寺の特設雛壇などに雛人形が飾られます。また、勝浦市のビッグひな祭りは、全国勝浦ネットワークの縁により、徳島県勝浦町よりおよそ7,000体のひな人形を里子として譲り受け、2001年から開催されています。遠見岬神社の石段の1800体のひな人形は、朝飾り付けをし、夜には全てをしまい込むという作業を毎日行っています。また、商店街の各店舗では工夫を凝らしたひな人形が飾られるなど、イベント期間中はひな祭り一色となります。
所在地 〒299-5233 千葉県勝浦市浜勝浦
問合せ先 ビッグひな祭り実行委員会(勝浦市観光商工課内)
〒299-5292 千葉県勝浦市新官1343-1
TEL 0470-73-6641 FAX 0470-73-8788
メールアドレス kankou-ks@city-katsuura.jp
開催日2月25日〜3月3日
アクセス ・JR外房線勝浦駅から徒歩で10分遠見岬神社、勝浦中央商店街
開催地 遠見岬神社 その他市内各所
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回想法
- お雛様の思い出を聞かせてください
- お家にお雛様はありましたか?
- お姉さん、妹さんはいらっしゃいました? 彼女たちとの想い出は?
- お雛様はいつごろから飾って、いつしまいますか?
- お雛様を飾ったことがありますか? 誰と一緒に飾りましたか?
- 今でもご実家には当時のお雛様がありますか?
- 娘さんやお孫さんへお雛様に何かお祝いをしてあげましたか?
- 去年の雛祭りは菱餅や雛アラレは食べましたか?